進撃の桃太郎

***

 むかし、むかし。あるところにそれはもう村では優しいと評判のお爺さんと、それはもう村では目つきが鋭く怖いと噂されているお婆さんがいました。二人に子どもはおらず、お婆さんの生きがいは毎日の掃除と洗濯。長年住んでいる家もお婆さんのおかげで新築と見まごうまど美しく、洗濯も毎日川で2時間かけて洗うほどの念の入れようです。その為二人が着ている服はいつも綺麗で、村のお婆さんたちはどうしたらそんなに綺麗に洗うことができるのか聞きたいけれど、あのお婆さんの目つきが怖く、話かけるどころか、近づくことすら怖がっていました。そんなお婆さんが今日も川へ洗濯に、お爺さんは山や芝刈りに出かけます。お婆さんは川へ行く際、いつも木製のタライを一緒に持っていきます。それに川の水を入れ、その中で洗濯板を使って汚れを念入り落とします。
 お婆さんが洗濯に夢中になっていると、川の上流からお婆さんの背丈くらいありそうな大きな桃が、川の流れに乗りながら流れてきました。さすがのお婆さんも、その存在間ありまくりの桃に気がつきます。しかしお婆さんはそれを横目で見送ました。
「って。兵長っ!桃、拾って下さい!」
「あ?・・・・・・何で俺が川から流れてきた、汚ねぇ桃なんざ拾わねぇといけないんだ?キノコ頭」
「今、ここで兵長に拾っていただかないと、物語の進行に影響がするどころか、このままだとこのお話が終わてしまいます。なのでこの通りお願いします、兵長!」
「おい!土下座なんて、やめろ・・・・・・」
「僕は、兵長が桃を拾ってくださるなら、何でもします。本当なんでもしますから!」
「・・・・・・だったら、お前が拾え」
「それは出来ません!兵長が拾ってこそ意味があるんです!」
「・・・・・・。めんどくせぇな・・・・・・洗濯終わってからでいいか?」
「それだと完全に下流まで流れちゃいますので、今すぐ拾ってください」
「・・・・・・。ほらよ・・・・・・これでいいのか?」
「ハイ!ありがとうございます、兵長!」
 それでは気を取り直して。
 お婆さんは川に流れる桃を拾い上げ、自分の近くに置くと黙々と洗濯を再開し始め、お婆さんが満足いくまで洗濯された衣類と大きな桃を背負い、帰り路につきました。
 村に戻ると既にお昼時を迎えており、村からは料理のいい匂いが漂ってます。家に帰るとお腹を空かせたお爺さんがお婆さんの帰りを待っていました。お婆さんはいつのように家の中に入ろうとしますが、背負っている桃が大きすぎ、戸に支えて入れません。そこでお婆さんは、その場で桃を小さく切り分け、お爺さんに食べさせました。大きな桃な為、大して美味しくないだろうと思っていたお婆さんですが、無理やり食べさせられたお爺さんは「なかなか、美味しいよ。ほら、リヴァイも食べてごらん」と勧められ一口食べてみると、お爺さんの言った通り美味な味でした。ですが、お婆さんくらいあった桃です。いくら小さく切り分けたと言っても2人で食べるには多いし、腐らせてしまう危険性もあります。そこで2人は村の人たちにおそそわけすることにしました。村のみんなが怖がっていたお婆さんと話す機会ができ、「見た目ほど怖くない」と誤解が解け、親密度が上がりました。
 そして、その日の夜。
 いつもは物静かな村なのですが、今夜は一段と騒がしく、朝日が昇ってやっと村が静寂に包まれました。

 翌朝。
 変な寝方をしたのか、お婆さんは腰を手で押さえながら、布団から起き上がると、そこには見覚えのない全裸の赤ん坊が、気持ちよさそうに寝息をたてていました。
 直ぐさま、お爺さんを叩き起し、「これはどういうことだ」とお婆さんはお爺さんを問いただします。けれど、お爺さんも「それはこっちのセリフだよ」と、更に混乱を招き、顔を見合わせていると、二人の声がうるさかったのか、赤ん坊は盛大に泣き始めてしまいました。お爺さんが赤ん坊を泣きやませようと、赤ん坊を抱くが、泣き止んでくれそうな気配がなく、困ったお爺さんは、お婆さんに赤ん坊を抱かせてみると、さっきまで盛大に泣いていたことが嘘みたいに、止まったどころか、眩しいくらいの笑顔をお婆さんに向けてます。
 しかし、お婆さんもいつまでも赤ん坊を抱いていては、朝食の準備が出来ません。なので仕方なく赤ん坊をお爺さんに託し、準備を始めようとするのですが、お婆さんの腕からお爺さんの腕に変わった途端、笑顔が消え、再び盛大に泣き出しました。
 お爺さんが今度こそはと、泣き止ませようと、あの手この手を使うのですが、泣き止むどころか、お爺さんの顔すら見ていません。終いには、赤ん坊は短い腕を振り回し始め、赤ん坊の顔に近づけたお爺さんの顔を、平手で叩いてしうありさまです。見かねたお婆さんは、襷で作った簡素背負子で赤ん坊を背負いながら、準備をすることにしました。その間、お爺さんは赤ん坊に叩かれた頬を撫で、叩いた本人は、お婆さんの背中を堪能していました。
 2人の朝食を作ったお婆さんは、お膳を2つ並べ、朝食を食べようとするのですが、ここで問題がまた一つ。それは赤ん坊に何を食べさせるかです。流石に、お婆さんの乳を飲ませるわけにもいかず、というより、胸がないのにどうやってお乳を出せというのか。困ったお婆さんが徐ろに立ち上がり、鍋に白米と白米が浸かるぐらいの水を入れ、火にかけ始めました。
「リヴァイ、何をしてるんだ?」
「お粥を作ってるんだ。これなら、コイツも食えるだろ・・・・・・」
 歯がまだない赤ん坊にとっては、形のあるものは食べられません。しかしお粥なら、柔らかく、少しずつ口にすれば、丸呑みしても問題ないだろうと、考えたお婆さんは、出来上がった熱々のお粥を冷まし、赤ん坊の口元に運びます。
「ほら、食え」
 しかし、赤ん坊は折角お婆さんが丹精込め作ったお粥を、払い除けてしまいました。赤ん坊は両頬を膨らませ、機嫌を害してしまいました。けれど、お婆さんは負けじと、再び赤ん坊の口元にお粥を運びます。しかしこれもまた、赤ん坊は払い除け、お婆さんの胸を平手で叩き始めました。お婆さんは数秒瞼を閉じ、再び開けこう赤ん坊に言い聞かせます。
「俺の胸から、乳は出ねぇよ」
 それを聞いた赤ん坊は、諦めたようにお婆さんの作ったお粥を、食べ始めました。それを見届けたお爺さんも朝食を食べ始め、お婆さんと3人、仲良く朝食の時間を過ごしました。
 朝食の後片付けを終えて、畳に上がるとお爺さんが静かに口を開きました。
「リヴァイ。この赤ん坊に名前をつけてあげないか?いつまでも赤ん坊というもの、どうかと思うよ」
「・・・・・・それも、そうだな。何か決まっているのか、エルヴィン」
「そうだね、エレリというのはどうだい?」
「なんだ、そのネーミングセンスは・・・・・・」
「俺とリヴァイの頭文字をとって、エル・・・・・・」
「却下だ」
 赤ん坊が見守る中、激しく討論を繰り広げた結果、どいう経路でそうなったかは、定かではありませんが、赤ん坊を名前を「エレン」と名づけ、育てることにしました。エレンもその名前を気に入ったのか、ご機嫌です。
 そして、お婆さんは早速エレンを背中に背負い、洗濯へ、お爺さんは芝刈りに出かけました。
 川に着くと、エレンは光の反射を受けて光る川に、興奮を覚え、お婆さんの背中で体を大きく揺らしています。
 お婆さんはいつものように、洗濯を二時間かけて終われせ、お腹を空かせて待ったいるお爺さんがいる家へ、帰ります。家に着いたら、洗濯物を竿に干し、昼食を作り、食べ、午後からはエレンと一緒に過ごし、3人一緒に夕食を食べ、お婆さんとエレンが一緒にお風呂に入り、川の字で就寝するという生活が12年続き、エレンも立派な男の子に成長しました。

 そんなある日、十二歳のエレンは、村を襲う鬼こと、巨人という存在を知ります。そしてつい最近もその巨人とやらが近所の村を襲ったという情報も、この村に届きました。村の人々は「次はこの村が襲われる」と怯えていました。そんな村の様子を見ていたエレンは、友人である、ミカサとアルミンに、村のために巨人を駆逐するということを自分の胸に誓ったことを明かしましす。
 しかし、今の彼に巨人を駆逐する術はありません。それを得るためには、訓練兵に志願し、3年間経験を積んで、やっと巨人を駆逐する術を得られます。エレンはその訓練兵に志願することも、2人だけに明かします。その話を聞いたアルミンが「僕も、訓練兵にしがんする」と決意します。しかし、ミカサは。
「訓練兵に志願して、立派な兵士になれるとは、限らない」
 ミカサの言う通り。実際、兵士となったものの、命を落とした兵士は大勢います。その現実を知ってもなお、エレンは「もう、決めたことだ」と言って決意を翻すことはしませんでした。その決意に負けたのか、「私も行く」と言い出します。流石に女である、ミカサまで行くことはないと、止めるが「自分の限りある命を、もっと大事にしてほしい、から。私も、行く」と言い、エレン同様、決意を翻すことはありませんでした。
 そして、その日の夜。エレンは意を決して、二人に訓練兵に志願することを告げます。
 怒られるんじゃないかと、思うととても二人の目を見れなかったエレンは、拳を膝の上で握り締め、二人の返事を待ちます。
「お前がそうしたいなら、そうすればいい。お前の人生だ・・・・・・。せぇぜぇ悔いの残らない道を、選ぶんだな」
 思ってもみなっかた言葉が耳に届いた、エレンは恐る恐る頭をあげます。
 そこにはエレンの顔を、真剣に見つめるお婆さんの顔がありました。
「・・・・・・。リヴァイの言う通りだね。エレン、くれぐれも怪我には気をつけるんだよ」
 エレンは2人にこれほどまでにも、大切に思われていたことに、感極まって涙を流してしまいました。
 そして一週間後、エレンは友人の2人と共に、訓練兵に志願しました。
 訓練兵にはエレンたちと同じ年くらいの子が大勢いました。今日からこの人たちと、寝食を共にし、巨人と闘う術を得るのかと思うと、一段と気合が入るエレンでした。
 訓練兵に志願し、数日が経ったある日の夜。
 食堂で唐突にエレンはジャンという少年に、喧嘩をふっかけられ、口論になります。その時ジャンが、日頃彼が「早く立派な兵士になって、巨人を駆逐するんだ」という発言をよく口にしていることから「この死に急ぎ野郎がっ!」と、たまたま頭に浮かんだ台詞を言うと、たちまち104期の間で、エレン=死に急ぎ野郎というあだ名がつきました。
 本人は全く自覚がないようですが、幼い頃から友人が困っていると、放っては置けず、無茶をしてでも助けるほど、自らのことを省みない子どもでした。

 そして、時は流れ、3年後の今日。ようやく彼らが戦闘の術を学び、巨人と向き合う日がやってきたのだった。
 解散式後、エレンたちは3年ぶりの家に帰って来ました。3年前にくらべてまた少し身長が伸びたエレンはついに、お婆さんの身長を追い越しました。あの小さかったエレンが、自分を追い越す日が来るとわかっていたお婆さんでも、その立派な立ち姿に驚き、手に持っていた洗ったばかりの洗濯物を、地面に落としてしまい、更にはそれを自分が踏んでしまっていることに気づかないまま、エレンに近寄り、本当に彼なのか確かめます。
「・・・・・・。本物、か・・・・・・」
「リヴァイ、それより私の褌、踏んでるよ」
「お久しぶりです、リヴァイさん」
 三年ぶりの再会に二人はお爺さんそっちのけで、三年間の訓練話にお婆さんは耳を傾けます。
 エレンは三年間の成果を振るうべく、明日にでも、巨人を駆逐しに行くとお婆さんに話し、それだったらとお婆さんは、今日の夕食は腕を振るって作ろうと、約束しました。
 旅路が長ったこともあって、家に入るなり、エレンは居間に倒れ込み、三年ぶりに我が家に帰ってきたことを肌で実感しました。
 居間に倒れ込んだまま眠りについたエレンを見たお婆さんは、風邪を引かないようにと、エレンを布団へと運んで、彼の安らかな寝顔を見ながら、お爺さんと2人で昼食を済ませます。昼食を終え、後片付けをも終えたお婆さんですが、台所から離れようとしません。何故なら、お婆さんは明日エレンに持たせようと思ってるきみ団子を拵えてるからです。食べ盛りのエレンはすぐにお腹を空かせてしまいます。明日も道中、きっとお腹を空かせるだろうと考えたお婆さんは、簡単につまめる団子を丹精込めて作ります。そうして出来上がた大量のお団子を、小さめの巾着袋に詰め、明日すぐに渡せるように準備しておきます。
 夕暮れ時、目を覚ましたエレンは昼食を食べ損ねたので、お腹が空いたようです。何か食べるものはないかと、辺りを探していると、明日のためにとお婆さんが作ったきみ団子を発見し、何も知らないエレンをそれを美味しくいただきます。洗濯物を取り込んで家の中に入ってきたお婆さんは、作ったお団子をエレンが食べているのを目撃し、戸の前で立ち尽くしてしまいました。
「あっ、リヴァイさん。この団子美味しいですよ!よかったら、どうぞ」
 あまりにもお婆さんが作ったお団子を美味しいそうに食べるエレンに、お婆さんは明日持っていくために作ったことをくちにできず、エレンから一つだけお団子を貰い、自分が作ったお団子をエレンと一緒に食べました。お婆さんにとってはエレンに美味しく食べてもらうことが、一番嬉しいことなので、そのまま何も言いませんでした。

 翌日の朝。お婆さんはエレンに晴れ着のような、家にある服の中で最もいい服を着せます。それを見たお婆さんは「ほう・・・悪くない・・・」といい、お爺さんは「ちょうど、だな。くれぐれも、無理はするなよ」とねぎらいの言葉をかけます。
 ミカサとアルミンがエレンを迎えに来て、いよいよ巨人の巣窟へ向かいます。
 エレンたちの村を出て、数時間経った頃、お婆さんの予想通り、エレンのお腹の虫がなりだしました。しかし家を出る時に何も食べ物を持ってこなかった3人。近くに食堂らしきものも、お茶屋も見当たりません。仕方なく足を動かしますが、空腹が止まってくれるわけがなく、自分の前を行くアルミンが次第にキノコに見始めたエレンは、いきなりアルミンの頭に齧り付きます。
「イっイタタタタタっ!イタイよ!イタイっ!!」
「っ!!エレン、それはキノコじゃなくて、アルミンの頭!それを食べたって、美味しくない」
「ミカサっ!なにげに酷いこと言ってないで、早く、僕の頭からエレンを離してよー!」
「わっ、わかった」
 ミカサがアルミンの頭からエレンを引き離すが、完全に頭を空腹で支配されているエレンは、まだアルミンの頭をキノコと勘違いし、もう一度かぶりつこうとしてきた。しかし、そこをミカサが止め、目を覚ますよう、エレンの体を揺さぶる。激しく体を揺らされたエレンは、我を取り戻した。けれど、相変わらずお腹は空腹のままだ。そんな時エレンは服のポケットに何か入っていることに気がつきます。ポケットに入っていたのは小さな巾着袋で、中には、昨日エレンが食べていたものと同じお団子が入っていました。
 実は昨日、今日のためにと作ったお団子をエレンは全部食べてしまい、本来ならなかったものです。ですが、夜2人が寝静まった頃、お婆さんはもう一度、昼間作ったものと同じもの作り、服のポケットに入れておいていたのです。
 エレンはお婆さんの優しさを噛み締めるかのように、お団子を食べ、再び歩き出します。
 旅の途中、巨人の巣窟と言われる場所に近づくにつれて、巨人の出現が増し、その度に戦闘を繰り広げ、やっとの思いで、辿り着いた巨人の巣窟。村とは違う異様な空気が、辺りを漂い、霧のようなものも漂っている為、視界がよくありません。そこに突然、人影のようなものが見え、何だ?と思ったのも束の間。突然姿を現したのは、巨人唯一の女。女型の巨人。の足。
 3人は素早く、立体機動を使い最初の攻撃を交わします。そして気安め程度の木に上り、女型の巨人の全貌を捉え、エレンが最初に反撃を始めます。続けと、ミカサも女型と戦闘を繰り広げ、アルミンは木の上に残り、2人の司令塔役を引き受けます。
 巨人を討伐するには、首から下にかけての縦1m、横10cm。エレンが囮役になり、ミカサが隙を狙って、うなじに斬りかかるが、刃が通らず、刃が折れてしまいました。予想外の出来事に、アルミンは一度距離を取るよう2人に伝えます。しかし、さっきのように、うなじを削げないとなると、討伐はほぼ不可能です。しかし。それを可能にするのが、歴史的逸材ことミカサ・アッカーマン。目にも止まらぬ速さで、女型の肉を削ぎ落とし、隙を見て、女型の巨人のうなじに切りかかり、見事討伐に成功します。ですが、討伐を喜んでいる場合ではありません。まだ強敵は残っているのです。その強敵にたち向かうべく、先に進もうとした時、再び霧の奥から人の気配が。
「今度は誰だ!?」
 霧の中から姿を現したのは、エレンたちとそう変わらない歳くらいの男の子2人。しかし、彼らの顔には見覚えがありました。その2人とは。
「ライナー、ベルトルト!何でお前らが、ここにいるんだよ!?」
 同じ訓練兵として、同じ釜の飯を食べた、ライナーとベルトルト。訳が分からず、困惑していると、突然ライナーが「悪かった」と頭を下げます。
 彼らの話によれば、多くを村を巨人たちが襲ったことは間違いない。しかし巨人たちが村を襲うようになったのは、自分たちの監督の目が行き届かなかったとことだと告げます。彼らは他の巨人とは違い、知性が備わっている分、そのか無知性巨人を制御することができますが、奇行種と呼ばれる巨人は、他の巨人と比べ、制御することが難しく、その奇行種が村を遅い始めたことがきっかけで、他の巨人たちも襲うようになったと、今での経緯を全て話しました。
 その話を聞いたエレンは、彼らに背を向け、こう言います。
「これからは、もう村に巨人が来ないよう気をつけてくれよ」
 そう言うと、エレンは来た道を帰り始めました。2人もエレンの後を追うようにして、村へ帰って行きました。
 その頃、エレンたちの村では3人が巨人を駆逐しに言ったことで、話題が持ちきり、お婆さんもエレンの事が心配で掃除や洗濯に身が入りません。その様子を見ているお爺さんも、気が気ではありません。今の2人に出来るとこはただただ、エレンが無事に帰還することを祈ることだけです。
 ふと、今夜の夕食に畑の野菜を使おうと、お婆さんが外に出ると、遠くの方からこちらに手を振る姿が。
「リヴァイさーん!」
 心配で気が気ではなかったお婆さんは「おい、エルヴィン!寝そべってる場合じゃ、ねぇーぞ!」とお爺さんを外を見るよう促します。
 お爺さんも外に出て、エレンの姿をとらえると、笑みがこぼれます。
 お婆さんはエレンが無事に帰還したことを、表には出しませんでしたが、その日の夕食にその度合いがあらわれていました。

 その後、エレンたちの活躍もあって、村に巨人が襲来することはないくなり、そのきっかけを作ったとして、エレンたちには、国から感謝状と謝礼金が支払われ、村には平和が取り戻されましたとさ。